読み聞かせが長続きしないのはなぜ?無理なく続けるための6つの工夫

「読み聞かせ」の影響

ベネッセ教育総合研究所の調査によると、2015年に小学1年生だった子どもを追跡した結果、「入学前に読み聞かせを受けた子どもは、その後の読書時間も長い」ということが分かりました。小学生入学前に「週4日以上」読み聞かせを受けていたグループは、「週1日未満」だったグループと比べて1.5倍~2倍の読書量を保ったそうです。

出典:子どもの読書行動の実態ー調査結果からわかることーベネッセ教育総合研究所

子どもにとって読み聞かせは大切。そう、それは分かっているのですが、なかなかできないというのもまた現実。

我が家の場合は年子3人ですから、3年連続で妊娠&出産し、3年間離乳食を作り続け、3年連続でいやいや期を過ごすという怒涛の毎日でした。私には優雅に読み聞かせなどしている「体力」も「気力」もなく、毎日ただただ私が生き残ることが目標。ママ友が子どもを連れて図書館に行ったりしているのを羨ましく思いながら、3人抱えて図書館なんて到底無理と諦めていました。

我が家が図書館に通い始めたのは、ちょうど韓国から日本に移住した2015年。子どもたちの日本語の勉強も兼ねて絵本を借りて読ませるようになったのです。上の子が5歳の頃でした。

読み聞かせはパパの担当になり、週4回までとはいきませんが、週に数回はするようになりました。パパの膝の上に3人が座って本を読む姿はとてもかわいいのですが、読む担当のパパはなかなか大変。「もっと読んでほしい」子どもたちと、「もう疲れた」パパの攻防はなかなか見ものでした(他人事)。

読み聞かせが長続きしない4つの理由

話が少しそれましたが、読書習慣をつけるためには幼児期の読み聞かせが大切であること、それは多くの方がもうすでに知っていることでしょう。しかし、現実はなかなか思い通りにはいきません。

ではまず、なぜ読み聞かせが長続きしないのか、その理由を少し考えてみましょう。

まずは時間的な余裕の問題。毎日の仕事や家事に追われ、「今日はもう無理」となってしまうケースが一番多いのではないでしょうか。特にママがフルタイムで働いている場合、夜は「早く寝かせなきゃ」と気持ちが焦ってしまい、絵本を読む時間を後回しにしてしまうこともあるでしょう。

 「ちゃんと読まなきゃ」と思いすぎて負担になる場合もあります。「自分はそんな上手に読み聞かせできない」「声に出して読むのが苦手」と、読み聞かせそのものがプレッシャーになってしまうケースもあります。

せっかく読み始めても子どもが集中せずに途中で遊び始めたり、同じ本ばかりをリクエストして親が飽きてしまうこともあります。「ちゃんと聞かないならもう読まない!」と、親がやる気をなくしてしまうことも多々あります。

「毎日続けよう!」と最初は意気込んでも、忙しくて忘れてしまったり、1日休むとそのままやめてしまったりします。特にいっぱい読んであげようと頑張りすぎると、親が疲れて続かなくなります。結局、親の気まぐれで読んだり、読まなかったりと、なかなか習慣化しないケースです。

では、どうすれば読み聞かせを長く続けることができるでしょうか?
ここからは我が家の経験もふまえて、実際に役立つ6つの工夫をご紹介します。

読み聞かせを無理なく続ける6つの工夫

「1冊全部読まなきゃ」「毎日続けなきゃ」「もっと上手に読まなきゃ」と思うと負担になってしまいます。読み聞かせで大切なのは「本を開いて一緒に過ごすこと」です。「下手でもいい」「毎日できなくても大丈夫」と、まずは気持ちのハードルを下げましょう。

  • 今日は1ページだけ。
  • 今日は3分だけ。

そんな小さな一歩で十分です。短くても少しずつ続けられれば、それが子どもにとって安心感のある習慣になります。

頑張りすぎないりすぎないことも長続きする秘訣です!

「本を読んであげるよ~!」と言えば、子どもは喜んでやってきます。でも、すぐに読み始めるのは禁物。先に「今日は〇冊ね」「今日は〇分だけね」と約束しましょう

もちろん読み終わったら「もっと~!」となるのですが、「さっき約束したよね」とカットすることができます。少ない量でも毎日続ければ習慣になりますが、いっぱい読んであげようと意気込んで親が疲れてしまっては元も子もありません。

何冊読むかは必ず先に約束しておきましょう!

基本的には子どもに読む本を選んでもらうのがいいのですが、毎日同じ本を持ってきて、親が飽きてしまったり。もちろん「これは昨日読んだから、別の持って来て」と誘うこともできますが、たまには親も楽しめる絵本を選んでみましょう。ユーモアたっぷりの絵本や、イラストが美しい作品は大人が読んでも面白いもの。

声色を変えてキャラクターになりきったり、効果音を入れたりすると、ちょっとした遊び感覚で続けられます。親が楽しんでいると、その雰囲気は子どもにも伝わります。

いつも一緒の本だと親が飽きちゃいますよね。

読み聞かせは「親が一方的に読む時間」ではなく「一緒に遊ぶ時間」と考えると気が楽になります。

  • ページをめくらせる
  • 「これは誰かな?」「次どうなると思う?」と問いかける
  • 絵を見ながら親子でおしゃべりする
  • 読み終わった後にクイズを出す

こうしたやり取りがあると、子どもは集中しやすくなり、読み聞かせが対話の時間に変わります。

また、子どもが集中せずほかのことをし始めたら、「じゃあ今日はここまでね」と区切るのもあり。すると子どもは大抵、「やだ~、もっと読んで~」とねだってきます。

特にクイズはおすすめ!
子どもたちが本に集中するようになります!

読み聞かせを長続きさせるためには、「時間を作る」より「生活の一部にする」ことがコツです。「食事前」や「食事後」、「寝る前」や「テレビを見る前」など、いろんな生活習慣の合間に読み聞かせを取り入れることができますが、子どもの生活習慣と読書習慣を一緒に身につけられるとっておきのパターンをご紹介します。

「本を〇冊読んだら、次は△△しようね」と子どもたちに言うと、読み聞かせもできて、次の行動を促すことができます。例えば、歯磨きが嫌いな子がいたとして、歯磨きしようと言ってもなかなか聞いてくれない場合、「本を1冊読んだら、歯磨きしようね」と誘って本を1冊読んであげると、スムーズに歯磨きに移ってくれることがあります。また、このパターンは子どもの「もっと読んで」攻撃をかわせるといううれしいメリットもあります。

上の例のように、歯磨きが嫌いな子がなかなか歯磨きしてくれない場合、「歯磨きしたら、本を1冊読んであげる」と言えば、「読み聞かせ」がご褒美のようになって歯磨きに喜んで行くようになります。子どもが嫌いなことの後に「ご褒美」的にこのパターンを取り入れると、親のイライラを減らしつつ、読書習慣も身につくという一石二鳥の効果があります。

上の2つのパターンを組み合わせると、「◇◇したら、本を〇冊読んであげる。その後は、△△しようね」というフローが生まれます。例えば、「歯磨きをしたら、本を1冊読んであげる。その後に、おねんねしようね」というパターンです。

これらのパターンを使えば、生活習慣も促しつつ、「読み聞かせ」を生活の流れの中に取り入れることができます。そうすれば、毎日の決まったタイミングに読み聞かせが続けることができ、読書習慣も身につくようになります。

パターンを活用して生活の一部に読み聞かせを組み込んじゃいましょう!
生活習慣と一緒に読書習慣も身につきますよ。

疲れている日は無理に自分で読まず、絵本を朗読してくれるYouTubeを使ったり、CDや絵本アプリに頼ることもできます。「今日は聞く日にしよう」と切り替えるのも続ける工夫のひとつです。

「毎日絶対にやらなきゃ」と思わず、読めなかった日があっても気にしないことが大切。続けること以上に「親子で楽しむこと」のが鍵です。

とにかく肩の力を抜いて続けていきましょう!

まとめ

読み聞かせは「毎日長時間やること」ではなく、親子で本を一緒に楽しむ時間を持つことが大切です。
1ページでも、3分でもOK。短くても続ければそれが習慣になり、親にとっても、子どもにとっても、とても良い思い出になります。特に、生活習慣の中に取り入れると、「読み聞かせ」を卒業した後も、本を読むことが習慣になっていきます。心が折れそうになっても、ぜひ色んな工夫をしながら乗り越えていきましょう。「継続は力なり」です!