子どもが本を読まない8つの理由と、親にしかできない8つの対策

「うちの子、全然本を読まないんです…。」そんな悩みを持つ保護者の方は多いですよね。

でも、実は「本を読まない子」=「読書が嫌いな子」ではありません。多くの場合、「読むきっかけ」がなかったり、「本を読む環境」などが揃っていないだけなのです。

読書を好きになるきっかけ

勉強は「学校」や「塾」で教えてくれます。運動も「スポ少」や「習い事」、「部活」などで教えてくれます。しかし、「読書」を教えてくれる「塾」のようなところはほとんどありません。もちろん学校に朝の読書タイムがあったり、先生たちが読書を励ますためにいろんな工夫をしてくれていたりしますが、それだけでは読書の習慣は身につきません。

では実際に読書をしている子どもたちは、どんなきっかけで本を読むようになったのでしょうか。

本を読むことが「大好き」と回答した子どもたちは57.5%で、「好き」と合わせると87%以上の子どもたちがマンガ以外の本も好んで読んでいることがわかりました。そのうち、69%が家族に本好きの人がいると回答しました。

出典:ニフティキッズ 「読書」に関するアンケート調査

読書を好きになったきっかけのうち、「子どもの頃に、本を読み聞かせてもらったこと」「身近な人が本好きだったこと」を選んだ人は、「語彙力」が高い傾向がある。幼少からの読書に対する周りの意識や環境が影響すると考えられる。

出典:ベネッセコーポレーション「第1回 現代人の語彙に関する調査」結果速報

こういった調査からも分かるように、子どもが読書をしている家庭では、親に読書の習慣があったり、読み聞かせをしていたり、リビングに本棚があったりなど、子どもたちが読書に興味を持つ「きっかけ」があります。勉強や運動とは違い、読書には親の役割がとても重要なのです。

そこで、この記事では子どもが本を読まない理由と、親にできる(逆に言えば、親にしかできない対策を考えてみたいと思います。

1. まずは環境を見直してみよう

① 読む時間・習慣がない

塾や習い事で忙しかったり、共働き世帯で毎日慌ただしかったり、落ち着いて読書する時間を取る余裕がない家庭も多いかもしれません。でも、読書習慣は小さなことの積み重ねです。まずは身近に本がある環境をつくること、ここから始めてみましょう。

対策:定期的に図書館や書店に行く

図書館の良い所は、一度借りると、返しに行かなければならないこと。そして、本を返しに行ったらまた借りてくるという、良いサイクルが生まれることです。図書館によっては、読み聞かせの時間があったり、色んなイベントが開催されています。週末にどこに行こうか悩まず、まずは図書館に寄ってみてください。

また、書店の良い所は、最新の本が手に入ることです今流行っているものに敏感な子どもたちには最高の遊び場です。

② 他の娯楽が多すぎる

テレビやスマホ、ゲームなど、子どもたちの周りにはすぐに楽しめる娯楽がいっぱいありますね。こういったものは人間の五感を刺激してくれるので、放っておいてもそちらに流れてしまいます。

親がスマホばかり見ているケース、幼い頃から子どもにスマホを与えるスマホ育児など、いろいろなところでスマホやゲームの危険性については話されていますが、子どもたちだけじゃなく、まず親がこういった娯楽から離れる時間を持つことも大切です。

ゲーム中毒に関する講義で、こういう話を聞いたことがあります。ゲーム中毒に陥らないためには、1日に何時間までなら大丈夫かと考えるのではなく、ゲームをしない日を設定するほうが効果的だと。「毎日少しずつする」のではなく「しない日を作る」のがコツです。

対策:スマホやゲームなどを使わない時間、日を設ける

  • 例)〇曜日はゲームをしない。
  • 例)夕食後はスマホを使わない。

といったルールを考えて、親子が一緒になって取り組んでみましょう。子どもに言うだけでなく、まずは親が努力している姿を見せることが大切です。そうでなければ、子どもたちはついて来てくれません。

2. 本との接し方を見直してみよう

③ 読むこと自体が苦手・疲れる

文字を追うのが遅かったり、内容を理解するのが大変だと、本を読むのが億劫になります。スマホやゲームに慣れ親しんでいると、「読むことが面倒」と感じる場合も多いでしょう。

児童書は「低学年向け」「高学年向け」というふうに対象年齢が書かれている場合が多いですが、これはあくまで目安です。読むことに慣れていない子には少し学年を下げ、簡単に読める本から始めると良いでしょう。低学年であれば「読み聞かせ」もおすすめです。

対策:短い本・読みやすい本から始める

  • 文字が少なく、絵や写真が多い本を選ぶ。
  • 音読を一緒にしたり、読み聞かせを通して「読む楽しさ」を体感させる。

④ 文字だけではイメージしにくい

本を読んでそれを頭の中で想像する力は一朝一夕では身につきません。特に最近はスマホやユーチューブで視覚的に楽しめるものが多いので、文字を読んでイメージするという作業が余計に難しくなっているのかもしれません。

そういった子には、絵本や学習まんが、挿絵が多い本がおすすめです。

対策:「絵本」や「学習まんが」を活用

  • 絵本やマンガ、さらには図鑑など、「目で楽しめる本」から入る。
  • 読んだ内容を絵に描いたり、話し合ったりして想像力を育てる。

⑤ 興味のある本に出会っていない

子どもは、興味のない本は読みません。そもそも、どの本がおもしろいのか分からないというケースもあるかもしれません。

まずは身近に本がある環境を整え、それからは子どもに本を選ばせて、どういうものに興味を示すのか観察してみてください。そこから関連本などを紹介していくと、子どもの興味の幅がどんどん広がっていきます。

対策:子ども自身に選ばせる

  • 書店や図書館で自由に選ばせ、「自分で選ぶ体験」を増やす。
  • 好きなアニメやゲーム、動物などから関連本を探す。

⑥「読書=つまらない」と感じている

「読みなさい」「感想文を書きなさい」と言われると、読書が「楽しくない」経験になります。読書はいろいろな知識を身に着けたり、語彙力を高めたりと、いろんな良い効果がありますが、それが目的になると長続きしません。まずは読書が「楽しい」と感じることが大切です。

対策:無理強いしない

  • 無理に最後まで読ませず、「途中でやめてもいい」と伝える。
  • 感想文よりも「どこが面白かった?」など気軽な会話に変える。

本選びのコツについての記事もありますので、そちらも参考にしてみてください。

3. 読書を励ます仕掛けを作ろう

⑦ 成功体験が少ない

最後まで読み切れなかったり、つらい経験が続くと、「自分は本が苦手」「本はつまんない」と考えるようになってしまいます。本を読んで楽しかった経験、本を読み切った達成感などを感じられるように、仕掛けを考えてみましょう。

我が家の近くの図書館では、読書の記録ができる「読書通帳」なるものがあり、50冊読むとちょっとしたプレゼントがもらえたりします。こういった小さな成功体験も読書の励みになります。

対策:達成感を感じられる仕掛けを作る

  • 読み終えた本を「読書ノート」や「本棚マーク」で可視化する。
  • 家族で「今月1冊読んだら〇〇しよう」などのご褒美を設定する。

⑧ 読書が孤独に感じる

読んでも誰とも共有できないと、モチベーションが下がりますよね。我が家の子どもたちも、学校のお友達と読書の話で盛り上がれないため寂しそうにしています。兄弟がいれば兄弟間で少しは共有できますが、そうでない場合は、親と共有できる仕組みを作ってみましょう。

対策:一緒に話す・共有する

  • 親子で同じ本を読んで感想を話し合う。
  • 家族の中で「読んでみたい本リスト」を作る。

まとめ

子どもが本を読まないのは、能力や性格や努力の問題ではありません。読書が「楽しい」ものになれば、自然と本を手に取るようになります。

家庭でできる、いや、家庭でしかできない小さな工夫が、子どもの読書人生を豊かに育ててくれるはずです。みなさんの家庭でも、一度チャレンジしてみませんか?